『日光之城 City of Daylights』 ★4(5、といってもいい・・・)
多布杰さん、周游さん、旺卓措さん、班玛加さん、出演のヒューマンドラマです。全21話。
多布杰さん、旺卓措さん、初めてお目にかかりました。
周游さん、「迷雾追踪」を視聴しました。
班玛加さん、「护心」「姻缘大人请留步」を視聴しました。
このドラマの簡単なあらすじは
チベット族の 土登 一家のお話です。
長女 曲宗 は母親の遺した甜茶馆を経営しながら一家を支えているのですが、父には内緒で地区の第一书记の 许少杰 と付き合っていて結婚を考えています。
長男 索朗 は公務員試験に二度落ち三度目の挑戦をしたと父 土登に嘘を言い勝手に起業して、チベットの特産物を中国全土に広めるという夢を追っています。
次男 扎西 は医者になり研修医として働いているのですが、本当には父 土登の跡を継いでチベット舞踊をやりたいと思っているのです。
チベットの古都ラサの壮大さと、青々と広がる草原と空、チベットの伝統と文化に重きを置きながら生きて来た 土登の家にも、それだけに捕らわれない新しい風が吹き込んでくるのです。
このドラマの私の一番は
時代と共に形を変えていくもの、変えないものです。
妻亡き後三人の子供を育てて来た 土登。でも、自分はチベット舞踊を継承していくために子供達には経済的に苦労させてしまったという想いがある。だからこそ子供たちには出来る限り安定した良い職に就いて欲しいと思っている。
索朗が勝手に公務員試験を諦めて起業の道を選んだことに怒り、索朗を家から追い出してしまうのですが、姉、弟が「犬にあげるから」と食事を取り分けているのに「犬にも肉が必要だろう」と心の中では許している。昔ながらの父親像なんですね。
そして、許されないと分かっているから黙って起業した 索朗も反抗的な息子ではなく、父の願いには添えなかったけど、自分の選んだ道をどうか見守っていて欲しいと願う良い息子です。土登に家を出てけと言われたので、「父がいないから入りなさい」という姉の言葉に従わず、父に認めてもらうまでは入らないと意地を見せて。
しかも、起業もただただ都会に憧れて地元を離れようとするという若者とは違い、チベットをもっともっと広く知ってもらおう、チベット地域をもっと活性化するためには何が出来るか?という民族愛からきているものなので、本当にいい息子なんですよ。
次男 扎西は反抗もしないで土登の望み通り医者になってくれたのに、扎突然医者を辞めて チベット舞踊家として生きたいなどと言い出し 土登を悩ませるのですが、反対された 扎西はへこみはするのですが、医者という仕事の価値に気が付いていく。こちらも、素晴らしい息子なんですよ。
ですから、ドラマ内で息子二人が反抗的で悩んでいる 土登を見て、もちろん理解はできますが、こんないい息子に育ったんだから手放しで誇っていいと、言いたかったです。
しっかりもので頑張り屋の長女 曲宗も、ラサを離れるって知ったら反対されるんじゃないかと心配から結婚の事をなかなか 土登に言えないでいるんですが、5年の任期が終わりに近づき 许少杰も地元に帰る期限が近づいてきている。二人とも早く言い出さなきゃと思っているけど、なかなかタイミングが取れずずるずるしていると、最悪のタイミングで 土登にバレてしまうんですね。現実でも絶対にこういう事あるよね~、と思いましたよ。
でも、曲宗が思っていたのと違い、土登は結婚の話に怒りもしなければ反対もしなかった。ただ哀しんだんです。(と、私は思えた)これが、曲宗には堪えた(と、私は思いました)。
私、曲宗さんは絶対にラサを家族の元を離れられない女性だと思ってたんですよ。だから、結婚して 许少杰についてくと言う展開は「え~、無理でしょう」とつぶやいてました。许少杰の嫁として知らない土地で上手くやっていけないとかではないんですよ、むしろ嫁としてどこでも歓迎されるような女性。でも、ラサと家族から離れられないだろうなと。
土登の子供たちは本当にラサを愛している、この愛は変わりようもない不変的なもの、時代の流れで新しいものが入ってこようと、この芯の部分は変わりようのない普遍的ものだという安心感が観ていて幸せでした。
反対にこのドラマを観ていて変わっていくものに映ったのは女性の生き方ですね。
結局ラサを、家族の元を離れられなかった 曲宗が選んだのは愛する人との結婚を諦めるという選択。これ 许少杰との別れを選んだわけではなく、結婚という形を諦めたと。彼に送った母から譲り受けた結納品、一緒にはいられなくても心はあなたに嫁いだ証かなと。これを受け取った 许少杰がラスト 曲宗に会いに来たので、一緒に暮らすという形ではないけれども、彼らの恋愛は新たな形で進んで行くんだ、と思いました。
あと二人女性が出てくるんですけど、
索朗のお相手 达珍。北京の大学へ進学し海外留学を経て大企業で働くキャリア女性。世界を見てなお故郷に戻って来た女性。男性と同じように、しっかりと自分の足で立ち生きていくことのできる女性なんですね。
扎西のお相手は草原の少女 格桑。18になったら相手を選び結婚していくというのが当たり前の草原で外の世界に羽ばたきたいと思っている。その夢を後押ししてくれた 扎西を慕い、パイロットになるという夢を叶えるために単身でラサに来て夢を叶えるんです。
家族の絆、自分に流れる受け継がれる思い、民族の血、確固たるアイデンティティ。索朗たちのこのアイデンティティは揺るぎないもの。
でも、大人になった女性は嫁に行き、家でただ男性や家族を支えるという伝統という名の慣例は変わっていくもの、それは女性の意志で選択できるもの、そうあるべきだと。三人の女性たちを観て思いました。
(画像出典 百度百科)