ドラマ大好き

主にアジア(華流)ドラマの感想と、簡単なあらすじを書いています。ネタバレを含みますので、ご注意ください。

我們與惡的距離 The World Between Us 悪との距離 ★5

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昨年台湾で放送された話題のドラマです。全10話。

台湾初の社会派ドラマと評されるほどの重厚なドラマで、台湾では数々の賞を取ったドラマ。

主役が一人、またカップルというスタイルではなく、出てきている出演者すべてが主役といった感じでしたので、簡単なあらすじのなかで、出演者の主要メンバーの役者さんを書いて置こうと思います。

 

二年前に映画館で起きた無差別殺人を軸に、犯人の家族、犯人の弁護士家族、被害者家族、精神科医の家族と、事件に関係したそれぞれの家族の在り方が語られています。

犯人の李曉明(王可元さん)の弁護士 王赦(吳慷仁さん)は無差別殺人者にも人権がありただ死刑にしても犯罪は防ぐことが出来ないと、死刑を引き延ばそうと世間の激しいバッシングを受けながらも戦っています。妻 丁美媚(周采詩さん)は夫の仕事に理解は示しているものの、本心ではなぜ凶悪犯ばかりを弁護するのかと疑問に感じています。

TV局に努める宋喬安(溫昇豪さん)は息子を事件で亡くしてから自責の念と息子を失った悲しみを忘れるために仕事と酒に頼って暮らしています。そのため夫 劉昭國(溫昇豪さん)と娘との関係は険悪になってしまっています。

李曉明の妹の 李曉文(陳妤)は名前を 李大芝と改名して父母とも別れ新たな人生を送ろうとしています。

その李大芝の大家の 應思悅(曾沛慈さん)は父親との関係が悪くなった弟 應思聰(林哲熹さん)を引き取り暮らし始めるのですが應思聰が統合失調症だということが分かり戸惑います。

宋喬安の妹で精神科のソーシャルワーカーの宋喬平(林予晞さん)は精神科医である夫 林一駿(施名帥さん)と共に患者の病気と世間の間に挟まれ悩みながらも、真摯に仕事に向き合って暮らしています。

 

ドラマは宋喬安のTV局で働いていた李大芝が、上司宋喬安が被害者の家族であることを知り、死刑判決を受けた李曉明の死刑が急に執行されたことで動き出していきます・・・。

 

このドラマの私の一番は

 

見ていて苦しくなるぐらいの重いストーリー展開の中、ラストがどうなるのか?登場するすべての家族がこれ以上苦しまないラストってあるのだろうか?とずっと考えながら視聴していたのですが・・・、ああ、本当にいいラスト、これ以上ない締めくくり方になっていたラストです。とても感動しました。

10話の題名「未来に向かって」が本当に素直に、みんなが未来に向かっていく様子が描かれていてとても良かったです。

 

殺人事件ではなく、その関係者、一人一人の事件後の生活、事件の後も誰もが生きていかなければならないつらい現実がとても丁寧に描かれていて、とても考えさせられました。

自分が加害者家族ならつらい現実を受け止められるだろうか?被害者家族なら加害者を許せるだろうか?強い理想と信念を尊敬はするが、無差別に子供までを殺した犯人を弁護する夫を支えることが果たしてできるだろうか?と私は母で妻なので、母、妻目線で色々考えてしまいました。

 

全編を通して重いドラマですが、ラストで宋喬安が加害者家族にかけるセリフ、

「ママ見てごらん、希望はあの空の向こうさ」

に示された光が懸命に生きることへの救いを見せてくれた、素敵なドラマでした。