『双探 Double Tap』 ★3
段奕宏さん、大鹏 さん、主演のサスペンスミステリーです。全16話。
段奕宏さん、大鹏 さん、両男優さんとも初めてお目にかかりました。ナイスミドルな俳優さんであり、名脇役として活躍されていることが多いのかなと思います(薄い情報で失礼します)。
このドラマの簡単なあらすじは
(サスペンスミステリーなので、まっさらな状態で楽しみたい方はこの先、ご注意下さい。)
北京の下町で納棺師として働く 周游 はその日も遺体を引き取りに来てくれと連絡を受けます。引き取りに行き遺体を視ると死亡診断書と死体の状態が違うことを発見し、警察に連絡を入れます。
そこで、連絡を受けた警察官 李慧炎 と初めて顔を合わせます。
李慧炎は息子と二人暮らしの警官で、家の中にトイレを作ろうとしたら、家の前の道が陥没してしまい、その上業者が逃げてしまい同僚に金を貸してくれと頼む、普通の毎日を過ごしていました。
李慧炎の息子 李根 には近所の同級生 范晓媛 という仲の良い友人がいて、二人はその日も仲良く寄り道をして屋台で食事をして帰ったのですが、その帰り道、范晓媛が何者かに連れ去られてしまいます。
どうすることも出来ず呆然としてしまう 李根ですが、調度父 李慧炎に会います。息子に言われ慌てて車を追いかける 李慧炎ですが逃げられてしまいます。
周游 はまた遺体の引き取りの電話があり引き取りに行くと、そこは自分の実家で父親が殺されていたのでした。
元々父親と上手くいっていなかった 周游ですが、父が殺され、その父の死体は舌が切り取られていて、その上犯人が残したメッセージのようなものが見つかり、父の死が普通でないと気になり出します。
そうして、女子誘拐事件を追う 李慧炎と、父親の事件を追う 周游は、北の街双塔でまた出会うことになります。
このドラマの私の一番は
北の田舎町の凍えるような寒さと、その町で生きる 乌娜吉という女性です。
事件とはほぼ関係ないのですが、この乌娜吉という女性の生き方が、見終わった後に心に残ってしまいました。
双塔という町で、森の監視員として一人で山小屋に住んでいる。森に迷った 周游を救い、事件に係わるのですが(誘拐犯たちにも山小屋を貸し、小屋の中で銃撃戦になったりします)、周游に惹かれその後も、事情も聞かず足になり周游に振り回されて行きます。
欲まみれの事件ととても対照的なこの女性の生き方。
生きることに必要な最低限のものだけで、ただ生きている。狩りをし、森を見て、時々町へ行く。遭難した 周游に少し好意を持ってドキドキしたり、手助けしたり、そんな些細な日常を楽しんでいる、この生活と、犯人が利己的な欲のために起った二つの事件と・・・生き方の違いを見せられたようで。
事件の方は、始まりの部分がかなりややこしく作られていたかなと、ちょっとごっちゃになってしまうのですが、後に振り返ればそこの「あれ?」も解けますし、犯人自体は早々に分かってますので、犯人探しと言うより、犯人の動機が何なのか?を突き詰めていく展開ですね。
殺人犯のほうも誘拐犯のほうも、なぜ殺したのか?なぜ誘拐したのか?
周游の追いかけている事件の犯人の動機は早々に察しも尽くし、分かるんですが、もうちょっと何か、気持ちの掘り下げ方みたいなものが・・・と思ってしまいました。
いつもキラキラの都会のドラマを観ていますので、このドラマのような北京があるというリアル。少女が誘拐された警察の反応の淡々とした様子など、違う視点で中国という大きな国を見ているように感じました。
息を吐くたびに白く、食べ物からはモクモクと白い湯気が立ち昇る・・・
とにかく寒さが強く印象に残ります(「无证之罪」でもすごく思いましたね)。そして、その寒さ、虚しい気持ちから、読みたくなった、松本清張先生。本棚を掘り起こし「砂の器」を十何年ぶりに読み返してしまいました。そして「ゼロの焦点」も。清張先生の世界観にどっぷりハマった年始です。
寒く、貧しく、辛く、哀しい・・・。
この世界観は共通だなと・・・しみじみ。
(画像:出典 百度百科)